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『イケメン戦国』〜生きる〜

第26章 還る


第三者目線

信長は、なおが目覚めてからの表情を、言葉を、淡々と受け入れた。

沙耶が言っていたように、信長を責める気持ちなど微塵もない事がよくわかる。

『己の存在が、貴様をこの様な目にあわせたのに…』

信長の胸に、切なさや苦しさと共に…愛おしさが溢れる。

「なお…俺を見てくれ」
信長はその愛おしさを伝えたくて、なおの頰にそっと触れた。

「つっ…」
なおは、その手を拒否するように顔を背ける。
震えている身体から泣いているのが見てとれた。

「…さわらないで…ほっ、といて…わ、わたし…きたない」

『そんな事はない…貴様は綺麗だ』
心の中でそっと呟く。
だが、それを伝えてもなおが受け取らない言葉だと分かっている。
そして、また、俺の元から去ろうとしている事も…分かりすぎるほど分かってしまう。

「俺はもう…お前を手放す気はない」
信長はそう言葉にする。

「もう…ほっといてください。おねがい…お願いだから」
信長はなおに気づかれぬよう、深く息を吐く。

切なさが
苦しさが
痛みが、胸を刺す。

「なお」
信長は求める様に名を呼ぶ。

「もう…いや、なの…もう…もう…」
なおの呼気が乱れてくるのがわかる。
信長は優しくなおを抱き起す。
涙で濡れたその瞼にそっとキスをする。

「あぁ…」
信長はしっかりと目を合わせる。

「なお…愛してる」

「だ、め…わ、すれ…て」
なおの呼吸は益々おかしくなり、苦しさに涙を流している。

『なお…すまない』

信長は、止められぬ愛しさを伝えたくて、なおにそっと唇を寄せる。
顔を背けようとするなおの頭を抑え、キスを落とした。



優しいキスが…なおへの愛しさを増した。







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