第24章 許されぬ想い
第三者目線
「やはりか…」
光秀の予測は当たっていた。
信長様はなおに逢うつもりがない。
「どうすればいいのか…」
長年信長に仕えてきた秀吉は、一度決めた事は曲げない性格をよく分かっていた。
だが、その反面なおの事になると、そうとばかりではないとも気づいていた。
このままでは、信長もなおも幸せになどなれない…それだけは分かっているのに…。
秀吉は頭を抱え広間で一人思い悩んでいた。
……………………………
「なお様…沙耶様が参りましたよ」
秋野はなおに声をかける。
長旅の疲れからか…なおの目は閉じ眠っていた。
「謙信様…私はどのくらいここにいれますか?」
なおの髪をそっと撫でながら、沙耶は謙信を見つめる。
「すぐに連れて帰りたい所だが…半月限度だな」
謙信は沙耶の頰に手を添えそっとなぞる。
「…?何の限度ですか?」
「俺の限度だな…本当は一時でも離れたくない…」
オッドアイの瞳を光らせ、謙信は艶やかに笑う。
「…私も…ですが、なおも…」
沙耶は一瞬にして顔を紅く染め俯いて呟く。
「分かっている。だから、半月待つ。それでも戻らぬのであれば…戻ってこい。なおも連れて…」
謙信はなおを優しい眼差しで見つめる。
「信長が阿呆でなければ、なおは目覚めるはずだ。沙耶の言っている事が確かならばな…」
「上杉様…それはどういう事ですか?」
それまで黙って聞いていた秋野は、身を乗り出さんばかりの勢いで謙信に問う。
「それには…私から答えましょう」
沙耶は秋野に向きなおる。
「これはなおは知らない事です。教えるには早すぎだから、教えていません。
浅海家は代々巫女の家系です。だからではないですが、なおの父には養子に入ってもらっていました。浅海の名を残す為に…」
沙耶は一呼吸置くと言葉を続ける。
「勿論、私にもなおにもその血は受け継がれています。
なおはまだ能力は未知数ですが、私には【手当】【読心】の能力があります」
信じられませんよね。と沙耶はフワリと笑うと
「勿論、簡単には心は読めないので安心してくださいね」
と付け加える。