第1章 〜プロローグ〜
第三者目線
政宗が桶の水を変えていると
「政宗。」
「あっ……あー。秀吉か…」
「どうした!まさか危ない状態なのか?!」
「いや……大丈夫だ。1週間もすれば落ち着くそうだ。」
「なら何で、そんな顔してんだ。」
「………家康に、家康に聞いてくれ…。」
政宗は呟いた。
「わかった。」
政宗の只ならぬ気配に、秀吉はそれ以上聞くことをやめ、家康の元へと急いだ。
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「様子はどうだ。」
「良くも悪くもないですよ。」
家康は薬を調合する手を止めぬまま答える。
なおを見ると、頬は赤く、浅く苦しそうな息を吐いている。
「大丈夫だと聞いたが?他に何かあったのか?」
そう問いかけると、家康は作った薬を持ちなおの横に座ると、上掛けを外す。
あまりの早さに目を逸らし損ねた秀吉は、思わず息をつめる。
「状態としては………」
家康は淡々と状態を話していく。
「忍びや間者を疑うところだけど、それにしては格好といい状況といい、余りにも抜けてるし弱すぎる。本当に捕まって困るなら、毒でも飲みそうだけど…。それもないしね。」
「じゃあ何者なんだ…。」
「本当に500年前から来たんじゃない?持ち物を見ても見たことのないものばかりだし………。信じられないけどね。」
家康は作った薬を塗りながら話続ける。
「………。何で?」
突然家康の手が止まる。
その声に秀吉は足元から、なおに目を向ける。
「…そんなところも落馬で?!」
「そんなわけないでしょう。これは……犯された傷だから……。」
再び手を動かしながら話を続ける。
「…秀吉さん。」
「何だ。」
「…ここを…見てください。」
「はぁ!何で…」
「やましい気持ちでもあるんですか?」
家康は手を止めず呟く。
「…わかった。」
秀吉は覚悟を決め、家康の見ろと言ったなおの脚の間へと歩を進める。