第18章 ずっとそばに…
第三者目線
信長は唇や手で、丹念になおを愛していく。
少しずつ襦袢をずらし、胸や中心を避けそれ以外は触っていない場所はないくらい、丁寧に愛を注いでいく。
「…ふぅっ…」
時折もれる声も甘さを増し、身体の力が抜けていくのを感じていた。
信長はその手を一旦止める。
「なお」
呼ばれた声に、なおの意識はゆるゆると覚醒する。
お酒の力もあり、訳のわからない夢の様な感覚を味わっていたなおは、自分の状態を確認するとその身を竦ませ、信長に背を向ける。
「なお」
信長はもう一度名前を呼び、震えている身を背後からそっと抱き締めた。
「なお…俺はもう最後まで止まらぬ。拒絶するなら…これが最後の機会だ…」
全てを奪うと言いながら、やはり信長は無理強いをする事に躊躇した。
離したくはないが、こんなに傷ついてきたなおを、これ以上追い詰めることは出来なかった。
なおは、身に残る信長の愛撫に今迄と違うものを感じていた。
痛みのない緩やかな愛が、身体や心を、そして過去をも優しく抱き締めてくれている様で…でも、心は恐怖を完全に拭いきれないでいた。
『受け入れたい…でも怖い』
自分から手を離そうとしたのに、それを拒否する自分もいて…。
『ずっとそばにいたい』
想いが溢れる。
信長は、返事のないなおの身体から身を離し、身体を起こした。
『…やはり無理か』
信長は無言でなおを見つめ、背を向けると立ち上がろうとした。
「…信長…様…」
なおはその気配を感じ、咄嗟に手をとる。
「…はなさ…ないで…。はな…離れたくないから…」
振り向いた信長の顔を見上げ、涙で掠れた声で囁いた。
「…もう、止まらぬぞ…たとえ、貴様が拒絶したとて…止まれぬぞ…」
信長はなおを見つめながら、もう一度確かめる様に言葉をかける。
なおは身体を起こし、信長の胸元に顔を寄せると、その身体を抱き締める。
「私を…信長様に差し上げます。心も…身体も…」