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『イケメン戦国』〜生きる〜

第17章 傷


なお目線

『信長様の所へ行く前に、子ども達に会って行こうかな』
私は少しうきうきしながら、子ども達の元へと向かった。

「みんな、おはよう」
声をかけると、次々にみんな笑顔で集まってきてくれる。

「なお様。おはようございます」

「梓。おはよう、今日は少ししか居られないから、ごめんね」

「ふふっ。知ってます」
梓はいたずらっ子の様に、にこにこと微笑む。

一通り挨拶を終えて、みんなが遊びだすと、梓と春がお茶を淹れてくれたので縁側に座る。

「さぁ、なお様!聞かせてください!」
梓は楽しそうに聞いてくる。

「へっ?何を…」
私は何の事だか分からず聞き返す。

春が私の耳元にそっと口を寄せると

「信長様と恋仲になったこと、聞きたいって…」

私は顔が一気に紅くなる。

「そ…そんな事、何で…」

「もう、みんな知ってますよ」
梓が少し呆れた様に言う。

「なお様は、信長様をお慕いされていたのですね」
春は嬉しそうな顔で微笑んでくれる。

「なお様。良かったですね」
梓もにこにこと微笑む。

「うん。ありがとう」
私は素直に言葉を返した。

「なお様は、これからどうなさるのですか?」

「どうするって?」
梓の質問の意味が分からず聞き返す。

「信長様と恋仲になられたのなら、天主にお住まいになるのかなって…私達もそんなに気軽に逢えなくなるかなって…」
少し淋しそうな梓。

「そ、そんな事ないよ」

「でも…お世継ぎを望まれるでしょうし、何よりご一緒に居たいでしょうし…」
春の言葉に息を詰める。

「…まだ、昨日の今日だから、何も話してないの…でも、この仕事は続けるつもりだし、梓や春達に逢えないのは私も淋しいから、信長様に頼むから…」
そう二人に答えながら、私は別の事に心が揺れていた。

「決まったら、連絡するね!お泊まり会も続けるから」
出来るだけ明るい声で二人に言うと、笑顔で二人と別れる。


【お世継ぎ】
それが何か?歴史に疎い私でも分かる。
そして、その為にしなければならない事も…。

『信長様が私を好きで、私が信長様を好きで…それだけで終わる関係じゃない。当たり前の事なのに…』
私は決意を固めて、天主へと向かった。


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