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『イケメン戦国』〜生きる〜

第16章 両想い


第三者目線

「信長様…私は信長様なら大丈夫だから…」
なおの真っ直ぐな瞳に、その奥にある暖かな光に囚われる。

『なお…愛おしい』
少し震えているなおを今一度腕の中に閉じ込める。

『怖くないはずがない
大丈夫なはずがない

死を願う程の苦痛
全てを諦める程の絶望
自分を偽らなければならない程の苦悩

それを全て飲み込んでまで、俺に愛を与えてくれるのか…』

「何があっても貴様を守る。
ずっと…そばで笑っていてくれ。
なお…愛してる」
信長は改めてなおへの想いを伝える。

「…信長様。私も…愛してます」
なおは頰をまた涙に濡らしながら、微笑んだ。

「なお…」
片手でそっと涙を拭うと、なおは瞼を閉じる。

『月夜の晩。これ以上は進めなかった今も進んで良いのかわからぬ。でももう、止められぬ』



信長はその手を顎に添えると

なおの顔を上げ

ゆっくりと唇を寄せた。

そっとふれるだけのキス。

それだけで、今まで交わしたどのキスよりも

甘く

切なく

愛おしく

幸福感を感じる。


そっと眼を開けると二人の視線が絡み合う。

なおは、恥ずかしさに信長の胸に顔をうずめる。

「なお…顔を見せろ」

「…無理です」

「俺の命が聞けぬか」

「聞けません」

「そうか…ならば」
なおの両頬に手を添えると、無理やり顔を任せる。

「いはぁいです」

「貴様がこっちを向かんからだ」
信長のいつもと変わらぬ余裕の表情が見える。
手をそっと離すと、なおは観念してその顔を見る。

「信長様…私…キスは初めてで、好きな人と出来て良かった」
なおは真っ赤な顔で、信長に告げる。

信長はその言葉に、なおをかき抱く。

『口吸いもなく、事に及んでいたのか…』
なおの受けた辱めが、どれ程の物が改めて知ると共に、なおの初めてを奪えた事に嬉しさも感じる。

「なお。愛してる」
もう一度、そっとキスをする。

嬉しそうに微笑むなおを見て、信長はまた抱き締める。

「今宵はもう眠れ。そばに、いつまでもそばにいてやる」

その言葉を子守唄に、なおは微睡みに身を任せた。







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