第20章 神か悪魔か (軍隊パロと人体実験)
副司令官が息を呑む。
「それは…デルタの退避が、」
「構わん。やれ」
半径100メートルを焼き尽くすSPA02は、出来るなら使いたくない手段だった。
しかし、一度で確実にカタをつけるには最も有効的な手段でもある。
「…SPA02準備」
「シグマとファイにやらせろ。オメガは援護」
「了解」
総司令官の命令は絶対だ。それが信頼もあるバージルならば、尚更実行に躊躇いはない。
「そういう事だ。動けるなら逃げろよ」
無線に無愛想に投げ付けた言葉に、デルタからぎゃんぎゃん叫び声が返る。
それをみなまで聞かずにバージルは無線を切った。
「…宜しいのですか。貴方のお気に入りでは?」
様子を眺めていた副司令官がバージルに言う。
デルタの彼女は、性格に癖はあれどとても優秀な人材。バージルは彼女を任務の度に連れて来ていた。
明らかにお気に入りなのだ。
一瞬、余計な世話だと言いたげにバージルは副司令官を睨む。しかしややあって、口元が緩んだ。
「あいつはこの程度では死なん」
その口調に柔らかいものを感じて副司令官は目を見張る。そうですか、と小さく呟いて。
彼女が怒鳴り込んで来るのも時間の問題だと思った。
2009/07/23
(バージル総司令官書きたかっただけの産物。2に続きます)