第20章 神か悪魔か (軍隊パロと人体実験)
奥へ向かい、手術台をすり抜け、機械の間を縫う。
使われ無くなって間もなくしか経っていない、まだ使用形跡の残る器具。
あの存在は、何としても破壊しなければならない。人間だから、人間として。
私はやがて見つけたものに目を見張ると、静かに無線機を取った。
「こちらデルタ」
「どうした」
「目標物確認。抹殺に移行します」
「了解」
うごめく肉体。
人、ならざるもの。
人体実験の末路だ。
人間を強化する為に計画されたであろう実験、それを実行する為に作られたであろうこの実験室は、もはや人ならざるものの巣窟となっていた。
「ひど…」
人間の原形を留めない身体。失敗作。
コードは千切られ、側に人が倒れ、研究者を殺したであろう実験結果は共食いをし、残った数体がうごめいている。
こんなものを自分と同じ人間が作り出したとは、考えたくなかった。
ただ、見た目は悪けれど「人間を強化する」という点では成功していたらしい。
銃が効かない。刃物で切ってもまるで怒ったようにカウンターを喰らう。更に、身体に触れるとぴりぴりとした痛みが走った。
「司令官、こいつ倒すのめんどくさいです!応援願います」
「何体いる」
「3、4…6体です」
その報告を聞いて、バージルは黙り込んだ。
司令室の中でひっきりなしに連絡が飛び交う。
破損、負傷、重体、意識不明、突撃、制圧。
持久戦は向かないだろう。総司令官の沈黙は一瞬だった。
デルタと通話を繋げたままマイクから口を離すと、振り返った先で控えている人物に、冷静に一言だけ言った。
「SPA02を落とせ」