第18章 支える手
「火傷したのか。流水で冷やせ」
一番に私の事を心配してくれて、親身に手当てをしてくれる。
本当迷惑かけっぱなし。こんなになるなら作らなきゃ良かった。
どんどん気持ちが卑屈になっていく。
なるしかないじゃないこんなの。
呆れてるんでしょう、どうせ。格好つけて作ったお菓子もまともな形にならない。
挙句火傷?私馬鹿?
何かひとつでもバージルより出来る事があればいいのに、全く見つからない。
粗熱を取る為コンロに乗せられたチーズケーキを見る。
今きっとめちゃくちゃ嫌な顔してそうだ私。これ以上醜態は晒したくない。
嫌われたくない。
このままここにいると、この家もバージルもバージルが言う事も信じていたもの全てが、自分のせいで崩れてしまいそうな気がした。
「ちょっと、火傷の薬買って来るね」
「何を……俺が買って来るから大人しくしていろ」
「いいから。そんなに酷くないし。ごめん、そのケーキだったモノ、置いといて。後でちゃんと片付ける」
「おい!」
有無を言わさずまくしたて、財布を掴んで家を飛び出し走り出した。
バージルが追いかけて来るのが心配で、しばらく走る。背後を伺って伺って、追ってきていないと確信するまで。
火傷の痛みがひどく身に染みた。