• テキストサイズ

【DMC】バージル夢短編集

第18章 支える手



「火傷したのか。流水で冷やせ」

一番に私の事を心配してくれて、親身に手当てをしてくれる。
本当迷惑かけっぱなし。こんなになるなら作らなきゃ良かった。
どんどん気持ちが卑屈になっていく。
なるしかないじゃないこんなの。

呆れてるんでしょう、どうせ。格好つけて作ったお菓子もまともな形にならない。
挙句火傷?私馬鹿?
何かひとつでもバージルより出来る事があればいいのに、全く見つからない。

粗熱を取る為コンロに乗せられたチーズケーキを見る。
今きっとめちゃくちゃ嫌な顔してそうだ私。これ以上醜態は晒したくない。
嫌われたくない。

このままここにいると、この家もバージルもバージルが言う事も信じていたもの全てが、自分のせいで崩れてしまいそうな気がした。



「ちょっと、火傷の薬買って来るね」

「何を……俺が買って来るから大人しくしていろ」

「いいから。そんなに酷くないし。ごめん、そのケーキだったモノ、置いといて。後でちゃんと片付ける」

「おい!」

有無を言わさずまくしたて、財布を掴んで家を飛び出し走り出した。
バージルが追いかけて来るのが心配で、しばらく走る。背後を伺って伺って、追ってきていないと確信するまで。

火傷の痛みがひどく身に染みた。

/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp