第4章 チョコレートの渡し方
「…!」
バージルに手首をつかまれ、は驚いてバージルを見た。
何、と言おうとした瞬間。
バージルが、つままれたチョコレートをの指ごと口に含む。
「!!! なっ…」
予想もしなかった行動にの熱が一気に上がり、指に当たるやわらかい感触に身体が震えた。
手を引こうとするもバージルにがっちりとつかまれて動けず、焦る。
「やっ離して! 何やってんのちょっと…っ」
言ったからといって、もちろんバージルが離すわけがない。
チョコレートは温かい温度でゆるゆると溶け、バージルの舌がの指を舐め回す。
ざらついた舌に力が吸われるように抜けていくのが自分で分かった。
時折かかるバージルの息が熱い。
丹念に舐められていく。
「やあ…ぁ…っ」
溶けたチョコレートがの腕に滴り、は顔を背けた。
熱い。
微かに聴こえる水音が、嫌でも耳に入る。
頭の中を白く染めていく。
震える指を、爪の先から付け根まで綺麗に舐め上げられ
ぴちゅ、と音がしてバージルの唇が離れた。
やっと解放されたと緊張を解きかけただが、腕に滴るチョコレートを舌先でちろりとつつかれて。
「ぃ…っ」
力一杯手を振り払うと、今度はあっさりとバージルの手から離れられた。
舐められた手がひんやりする。
しかし舌の感触が残っていて、身体は未だ熱い。
よろよろとバージルから離れ、睨みつける。
彼は、がいつの間にか落としてしまっていた残りのチョコレートを拾い上げた。