第40章 開始のチャイム (学園パロ逆ハー)
休み時間で賑やかな廊下の左寄りを歩く。何のプリントだろう。まさか宿題かな。
そんな事を考えながら歩いていると。
いきなり後ろからべしんと背中を叩かれた。
「よっ!おじょーちゃん一人?」
声と共に悪戯っ子のような笑顔が後ろから覗き込んでくる。は驚いてのけぞった。
バージルと同じ顔。でもどこか違う顔。
人懐っこい笑顔に明るい性格、バージルとは正反対の大雑把な性質。
校内にファンクラブがあるもう一人の先生、ダンテだった。
「もう…びっくりさせないでください」
「わりーわりー。あとちょっとで休み時間終わるぞ、どこ行くんだよ」
「ちょっと、バージル先生の所にプリント取りに」
「バージル?…ああ、俺もアイツに用事なんだ。一緒に行こーぜ」
連れ立って歩く。は身を縮めた。
ダンテもいるだけで目立つのだ。先生という立場を全く気にしない彼は、やはりバージル同様男女問わず人気がすごい。
しょっちゅう生徒と遊びに行ったりしているようで、今も歩きながらあちこちから声をかけられている。
同時に、あちこちから羨望の視線も。
なるべく連れだって歩いていると思われたくなくて、はダンテの少し後ろを歩いた。
ダンテはそれに気付いたが何も言わない。
「勉強してるか?」
「え…ああ、テストのですか?」
「あと1週間だろ」
「してますけど…何か、不思議ですね」
「何が」
「先生から勉強って言葉が出るなんて」
教師なのに勉強嫌いなダンテ。おそらく途切れた会話を繋げる為に持ち出した言葉だろうが、それにしても不似合いだった。
「お前、そりゃねーだろ。腐っても教師だぜ俺は」
「すみません」
謝りながら笑う。
その声に振り返ったダンテは、と目が合うと手を伸ばした。
くしゃっと頭を撫でられる。スキンシップの多い先生だ。
「ったく…食っちまうぞ」
「何をですか?早弁は駄目ですよ」
「アホか。おら、着いたぜ」
一瞬だけ耐えるような目は苦笑に変わり、その表情には目をとられる。
気付けば職員室の前で、ダンテは思いっきり扉を開けた。も急いで後に続き、バージルの姿を探す。
しかし、探さずともすぐに見つかった。
「なぜ貴様までついて来る」
すぐ横のコピー機にいた。