第40章 開始のチャイム (学園パロ逆ハー)
授業が終わっても先生は教室を出ない。というか、出られない。
冷たい水面のような表情で群がる女子に生返事を返しているのはバージルという名の先生。恐ろしく顔立ちが整っている上恐ろしくスタイルも良く、外見は話しかけ辛く冷たそうだが案外心配性の世話焼きで仕事も恐ろしく早く丁寧に終わらせる凄い人だ。
故に、生徒からも先生からも大人気。ファンクラブが密かにある程である。
この学校でファンクラブのある先生は、数十人の教師の中で彼を含め二人しかいない。
目を離すのが惜しまれるくらい格好いいし群がる女子の気持ちもわからなくはないが、にあんな事をする勇気はない。
いい加減教室を出たいといううんざりした表情をしているバージルをぼんやり見つめる。
すると、その彼の視線がこちらを向いた。
「」
縛られる。目を逸らそうという気も起きない。
彼と目が合っていながら逸らせる人がいるならお目にかかりたい。それほどバージルの視線は力強いものだった。
「はい」
「配って貰いたいプリントがある。取りに来い」
「わかりました」
そんなの貴方の周りにいる子に頼めばすぐ済むのに、と思ったが、は学級委員。これが仕事。
バージルと一緒に行ってもいいのだが、そうして妬まれたのではたまらない。
バージルが女子の合間を縫って教室を出てから2、3分置いても教室を出た。