第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)
「約束しろ。身を削るような行為はしないと」
「できない。今までずっとこうしてきたんだ。今さら…」
「では努力くらいはしろ」
強い声。叩きつけるような。
視線は合わせたまま。こんな状態で約束させるなんて、半ば無理矢理なのではと思いつつも、は。
「……わかった。気をつける」
しぶしぶ頷く。
それを確認してから更に数秒置いた後、バージルはようやく鞘を離した。
と同時に、身体がふわりと持ち上がり地面を離れる。
「うわ軽!! あ、でもそこらの女より重いか…?」
ダンテがを抱き抱えていた。驚く彼女に目配せをして、抱えたまま歩き出す。
それをバージルが慌てて追った。
「おい! どこへ行く!」
「病院! あんたお説教にかまけて手当て忘れてんじゃねーよ!」
ダンテはバージルに叫ぶと走り出した。
は戸惑いつつもどうにもできず、ただダンテにしがみつく。
「おいおろせ。自分で歩ける」
「んな事してたら病院着くまでにが死んじまうよ。それよりさあ…」
「?」
後ろにいるバージルを見ていたはダンテを見上げる。
彼は、にやりとこちらを見下ろしてきた。
「あんた格好いいな。俺、あんたに惚れるかも」
「!! なっ…」