第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)
は驚きで身を硬くした。
ずっと男として付き合ってきたのに。女だとわかった途端のその切り替えの速さに感心する。
と、背後から殺気が。
「貴様ふざけた事をぬかすな。斬るぞ」
「だってよー。何かいつも変だと思ってたんだよな。それがわかったから嬉しくて」
「変?」
は首を傾げる。
まさか気付いていたとでもいうのだろうか。
「んーなんつーか…違和感っていうか…よくわかんねぇけど。女だったって聞いてスッキリした感じ」
絶対に気付かれていないという自信はあったのに。
人間ならまだしも、半魔の双子相手に完全に騙す事自体、そもそも無理だっのだろう。
「……ありがとう」
ぽつりと、は言った。
特に理由はなかった。どうしてお礼が出るのかわからない。
ただ、言いたくて。
隠していたことを怒らない、突然態度を変えたりもしない、二人といられるのが嬉しくて。
ダンテは目を丸くしたが、やがて微笑んだ。
「どういたしまして」
言葉と共に、の頬に唇を落とし。その頬を押さえてびっくりする彼女に笑い。
途端、後ろから刀の抜かれる音とバージルの冷たい無機質な声に思わず笑いが漏れた。
2007/06/23