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【DMC】バージル夢短編集

第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)



「……、お前…」

やがてようやく口を開いたのはバージル。
彼は聡い。自分の語彙力で騙す事など到底無理だ。気付かないでいてくれ、お願いだから。
願ったにも関わらず。

「女…か…?」

言われて、肩の力が抜けた。吸われたように地面に腕をつき、ため息。
隠せない。
繕えない。
いつかはバレる事だったはず。しかしまさか、こんな形で。

潔く諦めるしかなかった。

「………あぁ、そうだ」

肯定。バージルが息を呑む。
まさか。まさかだろう。
会ってから今までずっと男だと信じてきた。だから容赦はしなかったし、今まで喧嘩で殴り合った事もある。

まさか。
それがまさか。

「…ほ、本当かよ…?」

ダンテの声。
目は合わせられなかった。今まで騙してきたのに、そんな図太い事はできない。
出血でくらくらする頭で頷いて。

「何ならここで脱ぐか? れっきとした女だ」

少し強がってみる。

「そんな…なぜ…」

バージルのかすれた呟き。こんなに動揺している声を聴いたのは初めてだ。

「なぜ黙っていた! なぜ今までずっと…」

「私は」

遮る。
目を閉じてひと呼吸。酸素を頭に。

「私は男として育てられた。男として扱われた。男として世に出た。なら、男として組むのは不自然ではないだろう?」

「………」

「それに、私が女だと言えば二人は必ずどこかで甘やかす。それが嫌だった」


対等に。
この半魔と出来る限り対等に闘いたかった。
だからこそ男として。
女の性別を捨てて。

バージルは黙り込む。なぜ今まで気付かなかったのだろう。
男として育てられたせいで身体の筋肉は並みの女よりある。男の体型にに近いといえば近い。しかし、細い体だと思っていた。
更に男とも女ともつかない声。この口調。

そういえば、風呂に入る時もどんな時も、は二人と一緒になろうとはしなかった。
てっきり一人が好きなのだと思っていたのに。

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