第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)
「さっきから見ていれば自分の身を庇いもせずに…死ぬ気か貴様は」
の身体を見下ろすバージル。それにつられるように視線を下げると、傷だらけの自分の身体。
「だって…自分を庇いながら行ったら面倒だ」
「それが命を縮める事になるんだぞ」
「そーだ! 俺やだぜが死ぬなんて!」
「貴様は黙って斬っていろダンテ」
二人に怒られて更に目を丸くする。
少し目を逸らしてみると、さっき自分のいた場所がすぐにわかった。赤い目印が転々点々とあるから。
笑う。
「死んだら、全部消える」
それが何を意味するのか。
それを何が意味するのか。
消えたら全ては。
言葉に詰まったバージルに何か言われないうちに、はその場を離れて次へ向かった。
説教も虚しく、相変わらず増えていく傷。彼の身体が傷跡だらけなのを、二人は知っていた。
辺りに響き渡る死焉。
いくつもの終焉。
レクイエムを与える余地も余裕も、そもそもそんな気すらない。
孤独に死んで逝け。
果てに手を伸ばし届かぬ事を悔やめ。
その仇か。
その報いか。
唐突に、駄目だとは思った。
目の前には大きな黒い闇の身体。それを含めて残りわずかな悪魔達。半魔の二人は少し遠くで余裕で闘っていて、勝利は確実。
ただ、自分は駄目だ。
悪魔が盾になり、ダンテとバージルからはの姿は見えない。それだけでも駄目だというのに、身体が動かない。
どうやら限界らしいと、嘲笑が漏れた。
限界?
自分の限界はこんなものだったか? こんなものじゃないだろう。
そう思ったが、自己過信だったのか。
振り上げられた鎌を見て、何か安心した。
やっと、終わった。
堕ちて刺さり捻られえぐり。
自分の為に呟く死焉。