第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)
―――バシャン!!
勢いよく倒れた人ならざる身体。地面を跳ね、次に地面につく時にはもう砂と化していた。
その砂から、まるで見る価値もないと言う風に髪をひるがえす男。
少しも乱れぬ整った呼吸。彼にとって、この人ならざる者がまだまだ役不足だという事をひしひしと語る。
目もくれず次へ。
休みもせず舞うように。
少し離れた場所で、わざとらしい口笛がした。
「流石だな。俺達は用ナシか?」
ダンテ。
赤い半魔。
「貴様はよそ見をせずに目の前をさっさと片付けろ」
を挟んでダンテの反対側。
バージル。
青い半魔。
中央で、はダンテにわずかに首を傾げて見せると。
バージルと似たような細長い刀でひうっと空気を裂き、次の悪魔へと視線を刺す。
余計な掛け声は不要。
はまるで吸い寄せられるように悪魔に近付いていき。
くるりと一閃。
耳障りな声が響く。それに顔をしかめた瞬間、肩に痛み。
目の前を赤いものが流れたが、は全く動じる事もなかった。
最後の足掻きに対して無機質な視線を向け、頬に飛び散った己の赤を邪魔くさそうにぐいっとぬぐう。
刃こぼれが心配だと、斬りながらぼんやりと考えて。
不意にぐいっと首根っこをつかまれ引かれた。
同時に、がいた場所に悪魔が鎌を振り下ろし。
「何やってんだよ!」
そこらじゅうのノイズで自然声量は上がり、ほとんど怒鳴るようにダンテは言った。さっきまでずっと向こうにいたのにと、は驚いて彼を見返す。
「ああ…ごめん。気付かなかった」
「悪魔の方じゃねえ。だ!」
するとその後ろから、同じくいつの間にか近くにいたバージルが、うざったそうに閻魔刀を薙ぎ。
真っ二つになる悪魔。