第38章 死焉 (男装ヒロイン逆ハー)
ひらひら舞う様は黒揚羽。
見る者を惹き付けてやまない諦めた存在。
さあさあ
そこの貴女様しばし手を休め此方に来てくださいな。
そして彼方で舞う人をご覧あそばされよ。
漆を塗ったような漆黒の髪に青い瞳。
結びもしていない髪は身体の後を追うようになめらかに動き。
細い身体はするりと隙間を縫い滑り。
彼を守るは伝説の魔剣士の息子である半魔の双子ときた。
こんな組み合わせご覧になった事はおありで?
ないでしょうね。そりゃないでしょう。
私だってないくらいですから。
ああ、間もなく終演の終焉が始まりますよ。
彼が真っ直ぐに立ち、細く長い刀を後ろ手に構え相手を見下ろす。
それが合図です。
終演の結末はご存知でしょうね?
そう、たった一つだ。生きとし生ける者の絶対なる運命だ。
身を捨て相手を堕とす彼にかかればこれ以外の結末はあり得ない。
よく覚えた方がいい。
「デッド・エンド」
死焉。