第36章 小さな親切 (ダンテ子供化ギャグ)
バージルは別段気分を悪くした風でもなく、笑いをこらえながら言った。と夫婦に見られた事に機嫌をよくしているらしい。
ダンテはそれが気に入らない。
「子供にそんな事言うなんて、大した父親だな」
「躾だ」
「暴力と躾は違うぜ」
「言葉と事実もな」
「まあまあ。あ、ほら、料理来たよ。ダンテ、食べさせてあげようか?」
途端ダンテはをキッと睨む。
「馬鹿にすんなって言ったろ!」
「……あ。店員さん、お子様用のスプーンとフォーク持ってきてくれた」
「………」
取っ手に可愛らしい動物の飾りがついたスプーンとフォーク。綺麗に並べられたそれを、ダンテは物悲しそうに見つめていたが。
観念したのかそれを手に取り、出されたサラダにフォークを突き刺した。
「行儀が悪い」
バージルのしかめっつら。いつもの事だ。
ダンテはレタスをしゃくしゃく噛みながら、に言う。
「そうだ。俺、風呂に入りたいんだよ。一緒に入ろーぜ」
「何で私が…」
「この歳ならまだ母親と一緒に風呂入るだろ」
「そうだけど、実年齢を棚に上げないで。男の子なんだからお父さんと一緒に入りなさいよ」
「やだね。オヤジ臭いもん」
「何だと」
ぴくりと眉根を寄せるバージル。
ダンテはその様子を横目で一瞥した。
「あんた気づいてないだろ。オヤジ臭するぜ」
「馬鹿を言え。まだこの歳で…」
「ホントだって」
「………」