第36章 小さな親切 (ダンテ子供化ギャグ)
バージルはやがて、不安そうにワイシャツの腕を鼻に近づけ、くんくんと嗅ぎ始めた。顔をしかめてわずかに首を捻り、反対の腕も。
少しは気にしていたりするのだろうか。は吹き出してしまいそうになる。
こういうところが、バージルはかわいい。
「バージル、嘘だよ。ダンテが拗ねてるだけ」
あまりにバージルが必死になっているので、は声をかけた。
ダンテは思った事はすぐ口にする。バージルがオヤジ臭いなどとは一度も聞いた事がなかったし、も感じた事はなかった。
「……そうか?」
バージルはそれでも不安そうにを見つめる。
本当だと言う風にが微笑むと、ようやくうっすらと笑みを返してきた。
そして微笑みながら、ダンテに鉄拳。
ダンテはスープに顔を突っ込みそうになり、両手で踏ん張ってかろうじて免れた。
「何すんだよ!」
「くだらん事を抜かすからだ」
「ビビってたくせしてよく言うぜ。思い当たる節があんだろうが」
「あるとしたら貴様のせいだな。全く、小さくても大きくても手がかかるのは変わらん」
「ちょっともー! こんなとこでやめてよ!」
は声を潜めて二人を叱るが、聞いてくれない。
やがて、が二人をレストランからつまみ出す事になるのだった。
ちなみにダンテの身体は、翌日には綺麗に戻っていたという。
2007/04/19