第36章 小さな親切 (ダンテ子供化ギャグ)
「…で、歩いてたら段々身体ちっちゃくなってって…俺もびっくりしてさ。周りに人がいなかったからよかったけどよ」
「何の疑問も持たず考えなしに食べるからだ。馬鹿め」
あらかた話し終えると、じっと腕を組んでダンテを見つめていたバージルはそう吐き捨てた。
その隣に座るは微妙な顔。もし自分がダンテだったら、やはり食べてしまいそうだ。
「だぁって…普通わかんねーだろ? お礼にくれたんだからさ!」
「でも、食べたの1個なんでしょ? ならそんなにひどくもないと思うけど…」
「そうだな。それだけが救いだ」
ため息混じりにバージルが言い、立ち上がった。
どこ行くの? とが視線で問うと、上を指差す。
「確か、2階の物置に昔着ていた子供服があるはずだ。持ってくる」
「そんなんまだあったのかよ」
「お前が全く片付けないからだ。よかったな、捨てなくて」
嫌味っぽく笑むと、バージルは階段を上って行った。
しばし訪れた沈黙。
がそれを破る。
「…夕飯、どうしよっか?」
「あ? 行くんだろ?」
「ダンテがいいならいいんだけど…いいの? その格好で」
「変わったのは見た目だけだ。物が食えなくなったわけじゃない」
「そうだけど…お子様ランチにしとく?」
「おい!」
「ごめんごめん」
睨みつけてきたダンテを笑って押しとどめる。
しかし、見れば見るほど綺麗な子供だ。親の顔が見てみたい。
整った顔立ちは全くため息が出るほどで、無邪気さとあどけなさの残る身体つきはあんなにたくましくなるなんて驚く他ない。
しかし顔は幼いながらも確かにダンテ。
それが面白くておかしくて、完璧な二人にもこんな子供時代があったのだと改めて気付かされる。