第3章 CHRISTMAS PREASENT
完全には逃げられなかった。どうあがいても逃げられない。
それを確信した時、の目を覆っていた手がようやく退けられる。
突然入ってきた光に、は思わず目を細めた。
目の前――少し動けばすぐに触れられそうなほど近くに、バージルの端正な顔。
まっすぐな髪が重力に従って下り、の顔にわずかに触れている。
そしてバージルは、穏やかに笑っていた。
「…どういうつもりよ」
組み敷かれた状態で問う。
バージルは邪魔だと言わんばかりに帽子を取り、後ろに投げた。
「クリスマスプレゼントだが?」
「プレゼントって普通、あげたら喜ぶものなんじゃないの?」
「喜んでいないのか?」
いない!と即答したかったが、は言葉に詰まった。
それにバージルは再び笑い、に顔を近づけてくる。
「……っ」
とっさに顔をそらせたが、バージルはそれを見越したようにに唇を重ねた。
「んふっ…やぁ…ぁっ」
上からの唇を何度も覆い。
吸い。啄み。舐めてはまた押し付け。
逃げる隙も息をする隙も与えないほどに、の唇をむさぼる。
抵抗していたの身体は次第に力をなくし、ただ荒々しい口付けの微かな隙間から息をするので精一杯になった。
息をしようと開いた口に、すかさず舌を割り入れられる。
はうめいたが、バージルは構わずの舌を捕らえ、絡みつく。