第32章 Nightmare (逆ハーバージル落)
荒い息に心が震える。一人の女にここまで心が揺さぶられるなど、俺はどうかしてしまったらしいな。
次の瞬間の首筋に吸い付くと、貪るように舌を這わせた。
月明かりの下抱き合う二人。バージルは、その状況にすら興奮を覚える。
「んぁ…やっ」
紅い華を増やしていく。
いくつも。
いくつも。
いくつ咲かせても足りない。
お前が欲しい。
するりと更に寝着を滑らせると、肩が顔をのぞかせて。
華奢で細い、しかし自分には無い柔らかさをたたえた肌。優しくしたいと思う反面めちゃくちゃにしたいと思う。
どうしようもない程の愛しさ。
どうすればいい?
どうすればお前に伝わる?
お前の恐怖を除きたくて
慰めたくて
癒したくて
守りたくて。
悪夢を忘れる程の幸せを、お前に味わわせたい。
俺に出来る事は何だ?
「…俺はどうしたらいい。どうしたら、お前の恐怖を除いてやれる?」
気付けば、柄にもなくに尋ねていた。
顔は首筋に埋めたまま。
咲かせた紅い華に触れながら、答えを待つ。
「………一緒に…」
言いかけて。
途中でやめる。