第32章 Nightmare (逆ハーバージル落)
「おいっ!」
ダンテがわめく。その声にバージルはあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。
「もういい。は俺が見ている、貴様はとっとと部屋を出ろ」
「なっ…」
更に怒鳴りつけようとしたダンテだったが、の視線がバージルにしか向いていないのを見て舌打ちをする。ここで足掻くのは男としてみっともない。
「…覚えてろよ」
低く囁くと怒りも顕な足音を立てて部屋を出た。
バージルは、困惑したようにじっと自分を見詰める瞳を満足そうに見つめると、再び唇を寄せた。
は素直にそれを受け入れて目を閉じる。そう、それでいい。
唇に吸いつくと、柔らかく甘い。
できるなら本能の赴くままに噛みつきたいが、それでは壊れてしまいそうだ。
音を立てて唇を離す。
角度を変えて、また吸いつく。
受け入れるべきか否か迷うようにバージルの肩に置かれたの手は、次第に力が抜けていった。それをいい事に、バージルはどんどん深みを目指していく。
唇の次は歯列をなぞり、薄く開いた歯の隙間に自分の舌を割り入れる。
はびくっと反応したが、それだけだった。
例え嫌がったって止められない。
肩から背中に回されたの腕が、バージルを駆り立てる。
やがて部屋に、息が混じる音に寄り添うように水音が響き始めた。
それにひたるバージルは更に欲望を駆り立てられ、無意識のうちに手がの身体を滑る。
「んっ ふ…ぅ…」
息をするだけで精一杯の。
彼女の寝着のボタンを、ひとつはずした。
舌の混じる音。
息の混じる音。
布の擦れる音。
バージルはの舌をも吸う。
まるで味わい尽くすように、口内を優しく力強く侵す。
そしてそれ以上を求めた。
ボタンをもうひとつ外し、唇を離す。
緩く波打つ寝着をずらすと、月明かりに照らされて柔らかい肌が目に入った。
―――ドクン
荒い呼吸をしてわずかに震えるのは首筋。上下するのは柔らかな胸。
が恥ずかしそうに顔をそらして、顕になる。