第32章 Nightmare (逆ハーバージル落)
が無意識のうちに考える悪夢。
それに表情が曇ってゆく。
「は…」
バージルの声に、ははっとして彼を見た。
彼は不安に揺れる瞳をして、を見ていた。まだ握られた手。力を込められる。
「は、俺の事が嫌いか…?」
「…へ?」
突飛な質問に思わず瞬いた。
さっきのダンテのふざけて言った言葉を、真に受けているようだ。
問いかけるバージルは真剣な顔で、わざとなのかどうかわからない。
もバージルを見つめ返していると、ダンテが身を乗り出した。
「嫌いだよな、こんな奴。暴力ばっかりでやんなるぜ」
もしかして、彼のことが嫌いだから悪夢の事も相談されなかったのではと思っているのだろうか。
はそれに苦笑するも、バージルに答えを返す。
「好き。バージルもダンテも、大好きだよ」
しかし、言ってもバージルの表情は変わらなかった。
「俺だけを好きでいてくれないと困る」
「俺だけって…どこまで自己中なんだよあんた」
「俺はだけが好きだ」
ダンテの呆れた声を無視して、バージルはを見つめる。
もじっとバージルを見つめた。瞳から、それが真実なのか見極めようとした。
「…」
バージルがの頬に手の平を添える。
汗が冷えた頬は少しだけ冷たくて、バージルの手の温かさが心地いい。
頬に当てた手を唇の近くに滑らせて、バージルは。
何か言いかけたの顔を見つめながら、唇を僅かに開いて少し息をすると、の唇に己のそれを重ねた。