第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
バージルは、少し涙目になりながらもようやく言った。
「全く可愛いな。は」
「えっ…」
意外な言葉に、は驚きを隠せなかった。
バージルに「可愛い」なんて言葉は合わなさそうだと思っていたのに…今、言った。
しかも私に。
「か、可愛くないよ! バージル今日変!」
「からかい甲斐がある」
腰をぐっと抱き寄せて顔を近づけるバージル。
戸惑った顔は目に見えて赤く、バージルはその様子に更に微笑んだ。
は少し視線を彷徨わせた後。
艶のある瞳でバージルを見る。
「バージルも、格好いいよ。こっちがドキドキするくらい」
「―――…」
その言葉にバージルが目を見張った
その瞬間。
「バージル!」
聞こえた声に、バージルは舌打ちをしそうになる。
あからさまに嫌そうな顔を向けると、明らかにやつれたダンテがいた。
「俺も無理。逃げてきた」
―――いい所だったというのに…
しかしダンテの目を見た瞬間、察した。
わざとだ。わざと逃げてきたのだ。
邪魔するために。
「ダンテ、大丈夫? 疲れた顔してる」
が心配そうに言う。
「もう会話が面倒くせえ。揃いも揃って遠回しな事言いやがってよ」
そう言って、ダンテはの手を引いた。
「外出ようぜ。ここにいると香水の匂いが付いちまう」
「ん、いいよ。バージルも行く?」
「あぁ」
バージルもダンテも、純粋にここから離れたかった。
たくさんの人の目が光る場所は、どうにも居心地が悪い。