第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
バージルの次はダンテが瞬時に女達に絡まれていく。はその様子を見て苦笑した。
バージルがほっとしたようにの手を優しく取り、ダンスへ導く。
「助かった」
「どういたしまして。あんなに囲まれると思ってなかったね」
「…ダンテと、何を話していた?」
バージルはさりげなく、何でもないような声で尋ねた。
が、一番気になっていた事だった。
ちらりと見たダンテとはとても楽しそうにしていて、苛立ちがつのっていたのだ。
「ん? バージルはもてるねって」
「そうか」
「あと…」
「?」
「バージルは、女の人好きじゃないって聞いた」
の口から出るのはみんな自分の事で。
嬉しさに綻ぶ反面、聡いバージルはの不安に気付いた。
「は特別だぞ」
「え…」
心の内を読まれた、と驚く彼女に、微笑みを向ける。
「は特別気に入っている」
は、そのバージルの笑顔が他人に向けられた所を見た事がなかった。ほんのりと薄い弧を描く唇と、柔らかく優しい目。
ただでさえ見られない、バージルの微笑んだ顔。
それに気付き、見た瞬間。
顔が熱くなる。
「……ぁっ えと…」
どうしたらいいのかわからなくて。とりあえずバージルと目が合わせられなくて。
は戸惑ったように下を向いた。
―――あーどうしよ! 今絶対顔赤い!
「……くっ…」
ふと気付けば、バージルが肩を震わせて笑いを堪えていた。
はぽかんとしてバージルの笑顔を見つめる。