第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
「あはは、相変わらず~」
「あいつ、あんまり女は好きじゃねえからな」
「そうなの? じゃあ私も嫌われてたりするかな?」
ダンテのさりげない一言に、不安そうになる。
その返しに逆に驚いた。
バージルがを嫌いだ? それはない。
不本意だが、バージルがを好いているのは、ダンテには手に取るようにわかるのだ。
ただ、それをには言いたくなくて。
「嫌ならと一緒に暮らしたりなんかしねえよ」
「そう?」
「あぁ。バージルは、気に入らない奴とは極力話さない」
は、ちょっと安心したような顔をする。
よかった、と呟いたのが聞こえた。
―――言わなきゃよかった。
呟きを聞いてしまったダンテは思う。
よかったという事は、彼女もバージルの事が嫌いではないという事だ。むしろ好きのうちに入るだろう。
それが恋愛感情であるにしろないにしろ、十分な不安要素だ。
ダンテの胸を不安が焦がす。
「おい」
いきなり腕を掴まれ、考え込んでいたダンテははっと我に返った。
無意識のうちにをかばう。
振り向くと、そこには青ざめたバージルが。
「変われ。吐き気がする」
「ああ?」
「あんなにたくさんの種類の香水をかいでいてはいつ倒れるかわからん。もううんざりだ」
ダンテとバージルは、外見は人間だが半分は悪魔だ。常人よりも優れた嗅覚に、香水はキツかったのだろう。
しかしダンテは、とのダンスを中断され機嫌を損ねていた。
はバージルを好いているのだろうかと考えていた事もあり、意地でも離すまいとを後ろに追いやる。
「やだね。外にでも出てろよ。まだ一曲も満足に踊ってないんだぜ」
「いいよ。バージル辛そうだし、変わるよ?」
「なっ…」
驚いてを振り返る。すると彼女はにっこり笑って、
「ダンテの方が女性の扱い慣れてるだろうし。Devil May Cryの店長さんでしょ? サービスしてきなよ」
と言った。
「…わかったよ」
ダンテは逆らえず、渋々バージルに相手を譲る。
それに目をつけ歩いてくる女達を見て、ため息をついた。