第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
「、今日すげえ綺麗」
右手はダンテの手と絡められ、腰にもダンテの温かい手。
ダンスを踊りながら、ダンテは言った。
「そ、そう? これお母さんのドレスなんだけど。とっておいてよかった」
恥ずかしそうに笑いながら、。
ダンテはその笑顔に目を奪われ、同時にこの瞬間に酔いしれた。
今、の前にいるのは自分だけ。
笑顔を向けられているのは、自分。
「ダンテも格好いいよ。二人とも、スーツ似合うね」
「俺はそうは思わねぇけどな。バージルはともかく、俺はこんなかっちりした格好は嫌いだ」
するとはころころと笑った。
「嫌いそう! 同じ顔の双子なのに、やっぱり好みは違うんだ」
「同じだったら気持ちわりいだろ」
「そうかも。二人で同じ事言ったり、同じ服買ったり?」
「うわ最悪。絶対やだね」
想像したようで、顔をしかめるダンテ。
くるりと回った反動と見せかけ、さりげなくに顔を寄せる。
柔らかい、いい香り。
頬がゆるんだ。
「―――あ」
「ん?」
「見て。バージルが女の人に絡まれてる」
不意にから言われて見てみると、確かにバージルの周りに女の人が集まっていた。
端から見ていてわかるくらい、全員がバージル狙い。悪魔を退治した男がどんな猛者なのかと想像していたのだろう、それがこれほど美麗な双子の若い男だと知って、女性は皆目の色を変えたに違いない。
もまた、この場の女性がダンテとバージルしか見ていないのに気付いていた。
一人になったのをチャンスと見て、一斉に駆けて来たようだ。
ある人は嬉しそうに。
ある人は頬を染めて。
自分に顔を向けようと、必死に話しかけている。
対するバージルは、もちろん無表情。
むしろやや不満そうに、簡単な相槌を打って受け答えしていた。