第3章 CHRISTMAS PREASENT
「何してんの…」
ようやくそれだけ言う。
の呆れたような視線の先の人物は、その言葉にわずかに首を傾げた。
月明かりの愛を受けたような輝く銀髪に
透き通った水面のような瞳。
いつもは髪は後ろに流しているはずなのに、今は自然に下ろされたまま。
それはいい。
そこまではいい。
の激しい疑問の対象になっているのは、その人物の格好だった。
彼のイメージとは正反対の真っ赤な服。
それに、ふわふわの真っ白な毛の縁取り。
同じ色、デザインの帽子。
「今日はクリスマスイブなのだろう? この格好がどこかおかしいか」
その服装で至極真面目に、彼―――バージルは言った。
「や おかしくはない…けど……。バージルが着てるのがおかしい」
「そうか?」
「うん。だいたい何でこんな時間に…」
「クリスマスイブの夜に、この格好でプレゼントを置いていくと聞いた」
「………」
間違ってはいないはずなのに、そこはかとなく間違っているような気がするのはなぜか。
黙って考え込んでしまった。それを、バージルは勘違いしたようだった。
「勝手に部屋に入った事を怒っているのか?」
「えっ! ち、違うよ!」
慌てて否定する。
「何か…びっくりした。まさか服も着てるなんて…」
「やるからには完璧にやるべきだろう。中途半端は嫌いだ」
はっきりと言うバージル。
それには吹き出した。彼らしい考え方だ。
そしてふとバージルの手元を見る。
「その割に、プレゼントの袋がないみたいだけど」
すると彼は、その言葉を待ち侘びていたようににやりと笑った。
「欲しいか?」
「別にくれなくてもいいけどさ…せっかく来たんだから、貰おう…かな」
バージルの笑みに少し戸惑う。
赤い服を着て髪をおろしたバージルは、いつもと違うように見えた。
「目を閉じろ」
「ん」
目を開けたら、プレゼントが目の前にあるのだろうか。
そのまま出せばいいのに、バージルも可愛い事するな。
そう思っていると―――