第3章 CHRISTMAS PREASENT
―――誰かいる。
寝ていたはふと、気配で目が覚めた。
真夜中のこんな時間に。
背を向けている部屋の入り口側から、人の気配。
しかしこういう事には慣れているは、取り乱しもせず気配をうかがった。
その侵入者は入り口のドアをゆっくりと閉め、足音も立てずに歩いてきている。
まるで警戒するように
きし、と床がわずかに悲鳴を上げた。
―――誰? バージルはもう寝てるはずだし…
気配に注意を向けながら考える。
もしバージルが起きていたとしても、ここにいるのはあり得なかった。
バージルは絶対に、勝手に部屋に入ってきたりしない。
―――泥棒?
だとしたら、随分熟練された腕の持ち主だ。気配も物音も上手く消している。
それでもには、即座に倒せる自信があった。
気配はゆっくりとに近づくと、が寝ているベッドの前で足を止める。
「………」
そのまま、様子を見るような静寂。
を襲うならとっくに手を出していてもよさそうなものなのに、じっと動かない。
―――?
不審に思ったが、動かないならこっちから動くまでだ。
ベッドに隠してあるナイフを、寝返りとともにそっとつかむ。
そして、はふっと息を止めると。
次の瞬間、瞬きをする間にくるっと向きを変え、侵入者の首にナイフを当てた。
「夜中に来るなんて、随分な弱虫ね?」
気圧されるような迫力のある声で告げ。それとともに、首にナイフを押し付ける。
―――が。
月明かりに照らされたその顔を見て、はびくっとナイフを引いた。
「…なっ…」
驚きを隠せない。
その侵入者の上から下まで何回も目を通し
理解不能な事態に、頭を抱えて。
「…………」
ナイフを放り投げてベッドに座り込んだ。