第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
「そう言う二人も格好いいよ。スーツ似合うね」
は二人を見比べてみる。
スーツが似合いそうだとは思ったが、ここまでだとは思わなかった。
銀髪に黒で統一したスーツがよく似合う。同じ服を着ているせいか、二人の同じ顔立ちがやけに目に入る。
黒と白のスーツの中で唯一色みのある一対のアイスブルーは、全てを見透かしそうなほど。
長身にすらりとした足。
スーツ越しにでもよくわかる体格の良さ。
バージルはともかくダンテでさえ、どこの跡取り息子かと思わせるくらいの美しさだった。
「惚れたか?」
「…馬鹿」
にやりと笑って顔を覗き込むダンテから、ぷいっと視線をそらす。
その横でバージルは髪を整え綺麗に後ろに流すと、を見た。
「準備できたぞ」
「ん じゃあ行こっか」
丁度いい、夕方間近の時間だ。
は小さなバッグを持ち、ドアへ向かおうとする。
そして―――ふと疑問に思い当たった。
「行くって…どうやって?」
招かれたパーティー会場へは、とてもではないが歩いては行けない。
私服ならともかく、こんな服装では尚更だ。
するとダンテが、至極当然のように言った。
「俺のイカしたバイクがあんじゃねえか」
「バイク!?」
「スーツでだってバイクは乗れるぜ」
それでも3人乗りはキツイんじゃないだろうか。ダンテの大きなバイクを思い浮かべながらは考える。
それに、ダンテとバージルはスーツだが、はドレスなのだ。
「大丈夫だって。落っこちねえように俺とバージルの間に座っとけ。
なんならバージルの膝にでも座るか?」
「ええ!!」
状況が状況なだけに、冗談では済まされない。
―――膝の上に座るなんて恥ずかしすぎでしょ!
ただでさえ薄いドレスなのだ。
二人に挟まれるだけでも相当なものなのに、バージルの上に座るなんて!