第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
部屋に入ると、バージルがクローゼットに頭を突っ込んでがさがさと中を掻き回していた。
開かれた扉には、既に見つけたのかスーツが1着掛けてある。
身体を起こしたバージルの手に、もう1着。
同じものだ。
「スーツなんてうちにあったのかよ」
「俺が買っておいた。仕事柄、こういう事もあるだろうと思ってな」
ダンテは肩をすくめる。つくづく用意がいい。
スーツを手に取ると、黒色のシンプルなスーツだった。
シンプルすぎて、ダンテの好みにはあまり合わない。
「もうちょい派手なのがよかったな」
「文句を言うな。あるだけいいと思え」
「はいはい…」
別段気に入らないわけではないので、早速着替え始める。
コートを脱ぎ、ベストを脱ぎ。
ベッドには、ダンテが脱ぎ散らかした服とバージルが丁寧に畳んだ服が置かれていった。
「のドレスってどんなんだろうな」
着替えながらふと、ダンテが問う。
「さあな」
簡素な答え。
シンプルなラインなのか、それともエレガントか、ゴージャスか。
3人とも今まで正装などした事がなかったので、2人はのドレス姿には期待を寄せていた。
それと同時に、も自分達のスーツ姿に期待しているのだろうかと考える。
―――それなら尚更、びしっと決めねえとな。
ダンテは目を輝かせたの顔を思い浮かべ、頬をゆるめた。