第30章 PARTY NIGHT (逆ハー)
少し前に依頼を片付けた、この辺りでは有名な金持ちからの手紙。郵便側の手違いで、今日のパーティーの招待状が今朝届いたのだ。
依頼を片付けてくれたお礼にパーティーを開くから、三人にはゲストとして是非来てもらいたいという内容だった。
「…どうする? 行く?」
「めんどい」
「でも多分ご馳走だよ?」
その言葉にダンテとバージルは黙る。
依頼はいつも来るわけではないので、常に節約を欠かせない生活。そんな中で高級なものを食べられるわけもなく。
「ご馳走か…」
「酒も食い物も食べ放題…」
飢えてるなあ…。
タダで美味しいものが食べられるなら、それに越した事はない。
幸い今日は仕事も入っていなかったため、断る理由はどこにもなかった。
「しかし金持ちのパーティーなのだろう? この服装でいいのか」
バージルがを見た。
は二人の服装を見比べてみる。
「…スーツとかの方がいいかなぁ」
するとダンテは眉を跳ね上げた。
「ああ? このまんまでいいじゃねえかよ。俺達に向けたパーティーだろ?」
「でも服が破けてて中に何も着てないのはどうかと思う」
正当だ。
ダンテは拗ねた顔をする。
「……スーツなんてうちにはないぜ」
「あるぞ。虫が食っていなければな」
バージルの声。
彼は行く気があるようで、スーツを探しに立ち上がった。
「貰えるものは貰っておけ。食べられるものは食べておけ」
大真面目に言うバージル。
ダンテは呆れた顔をした。
「あんたいつからそんなにドケチになったんだよ…」
「こんな生活をしていればドケチにもなる」
そう言って、バージルは部屋へ消えていく。
「私もドレス探してこよっ!」
も行く気満々で、楽しそうに立ち上がると自分の部屋へ行ってしまった。
「……………」
一人残されるダンテ。
「はぁ…」
諦めたように息をつくと、バージルが入って行った部屋へ向かった。