第25章 リボン解き (逆ハー)
クリスマス・イヴの晩。
は眠気に耐えられず、いつもより早くベッドに入る事にした。
ダンテは明日のケーキを楽しみにしていてシャンパンをやたらと用意していたし、バージルはいつも豪華な夕飯を更に豪華にするつもりらしく、料理の本をめくっていて。
二人らしいなと微笑みながら部屋への階段を登る背中に、「明日のケーキ一番楽しみにしてっから」とダンテの声。
明日は早く起きて買い物に出掛けよう。
そう思いながらベッドに潜り、はすぐに眠りに落ちた。
真夜中。
何だか身体が重く沈んでいる気がして、の意識は半分現実に引き戻された。
聞きなれた声がする。静かにしろ、とか、早くどけ、とか。
またダンテがバージルに怒られているのか。いつもの事だ。
しかしそれにしては身体が重たくて。
ぎしりと軋むような音がして。
ふっとは目を開けた。
すると。
「………あ」
「………え」
仰向けで寝ていた。呼吸がわかるくらいの至近距離に、ダンテの顔。
まるで眠り姫に目覚めの口付けをしたようなダンテ。
口付けに目覚めたような。
ダンテは両腕で彼女の身体を挟み込み、ほとんど覆い被さっていた。
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」
「……サンタだぜ」
「嘘」
騙されもしない嘘をついて、ダンテは残念そうに笑う。
それから身体を支えを挟み込んでいた腕の力を抜くと、上半身だけ倒れ込んできた。
「なーんで起きんだよー」
まるで抱き締めるようにダンテの腕が回される。
いや、何でじゃないでしょう。こっちが何でよ。
何で部屋に入って来てるのこの人。