第25章 リボン解き (逆ハー)
クリスマス間近のある日に二人に尋ねてみた。
「クリスマスプレゼント、何か欲しいものある?」
本当は内緒にして自分でプレゼント買ってもいいんだけど。
当たり外れの差が大きい彼らに買うとなると色々と悩み所がある。欲しそうな物が分かりやすいが為の分かりにくさがあり、今回は聞いてみる事にしたのだ。
二人は、まるでそっくりだけど全然違う顔をこちらに向けて。
ダンテが最初にバージルを伺い、バージルも視線を感じてダンテと目を合わせ。
「………」
「……だってさ」
「欲しいものか…」
「それよりどうしたんだよ。去年は聞いて来なかったじゃねーか」
「まあ、今年はちゃんと聞いてみようかなあと思って」
特に深い意味はないのだが。
「…ふーん」
ダンテは、のシンプルな返答に納得したようなしないような表情をした。
それからまたバージルと目を合わせる。
しばし考え込むような沈黙の後、口を開いたのはバージルだった。
「欲しいものを貰えるんだな?」
「うん。あげるけど…ある?」
「あるにはあるが…それなら、は何もしなくていい」
「え…何でよ。私には買えないもの?」
「まあ、そういう事だな」
曖昧な答え。言いたくないようなものなのだろうか。
ダンテにも視線で問いかけてみるものの、女を瞬殺できそうな笑顔で微笑まれるだけ。
何だか納得がいかないが、はそれ以上は何も聞かなかった。
この二人が言わない時は聞かない方がいい。余計な詮索は身を滅ぼす。
プレゼントをあげられない分、クリスマスケーキに力を入れようかな。
当初の予定を変更して更に豪華なケーキにしようと、は思考を巡らせた。
ダンテとバージルが意味深な視線を交わしているのにも気付かずに。