第2章 第一話「純白」
「朽木だ、」
慌てて吉良の写真を片し、冷静を装い静かに座る
「…………」
すくっと隣に座り一言も喋らない白哉に純白まで固まってしまう
「く、朽木隊長…?」
「今まで通りで良い、純白。」
「あ…はい、白哉兄様…」
純白が呼び方を変えれば白哉は少しだけ表情を緩める。
2人は同じ貴族として古くからの知り合いであった。小さな頃から純白は白哉の後ろを追いかけて周り兄と慕っていたのだった。
「こんなにも早く兄が私と同じ立場に上がって来るとは思わなかった」
「…ふふ、私もです。白哉兄様にお会い出来て本当に嬉しゅうございます」
「ここを一歩出れば私も兄も隊長、長だ。気を引き締めて行け」
「は、はい!ありがとうございます!」
白哉はそれだけを言いスタスタと部屋を出ていく。
「ふふふ…お優しいお方で」
3番隊隊舎
「一班は稽古、二班は七番隊隊舎に行き掃除、三班は……資料室で書類整理を行ってくれ」
隊員たちは勢いよく返事をし執務室から出ていく
前隊長が裏切ってから三番隊の信用は地に落ち、仕事も減り、入って来たかと思えば雑用ばかりであった
「遅くなって申し訳ございません、吉良副隊長。」
「あ、いえ、今日は書類を片付けるだけで特に任務は無いのでゆっくりされて大丈夫ですよ」
山になった書類に一枚一枚目を通しハンコを押していく吉良の姿が目に映る
「その書類私も手伝ってはいけませんか?」
「へ?あ…そんな、隊長は休んでらして大丈夫なんですよ?」
「これからはこれも私の仕事になるんでしょう?」
書類の山を見つめ一枚めくりニコッと微笑む
「貴方の…吉良副隊長の負担を一つでも減らしたいの」
吉良の目を見つめ、筆を握る腕にそっと手を置く
「お気遣いありがとうございます。でも…これくらいしか仕事無いんですよ、ははは」
吉良は気まずそうに頭をかきながら話した
「三番隊は裏切り者の隊……ですもんね。」
「な、っ!」
「私が…変えてみせます。三番隊は一番信頼のおける隊だって」
ニコッと笑い急須へと手を伸ばす
「あ、隊長!僕が煎れますよ!」
「いいんです、吉良副隊長は頑張って下さっていますから」
「あ…あ、ありがとうございます。」
ズズッとお茶を啜る音だけが執務室に響く