第2章 第一話「純白」
純白自室
「やっと…やっと三番隊に……吉良イヅル様……」
机に飾られた写真立てを抱き締めふにゃりと笑う。写真には一年前の吉良と霊術院生時代のまだ髪の短い純白が写っていた。
「覚えてては下さらない様でしたが……またお会い出来て本当に……嬉しい……」
あれはまだ私が霊術院生の頃
鬼道も剣術も人並み外れて強かった私を周りはバケモノ扱いしていた。
「爆道の三十一、射炎砲!!」
赤い炎は的の真ん中に当たり燃えて崩れてしまう
「まじかよ、詠唱破棄であの威力かよ」
「てかどうやって詠唱破棄なんてしてんだよ…」
鬼道を習いたての時試しにしてみたら出来たのだ
自分でも分からない。
「凄いね、君。詠唱破棄だなんて驚いたよ」
その時たまたま護廷十三隊より講師として来ていた
吉良イヅル様
初めて見た時からその綺麗な薄い金髪に、碧い鋭い瞳に一瞬で一目惚れした
優しい物言い、自信のなさ気な笑い方、低くて響く声、全てが私の理想的で、その時から貴方が頭から離れない
バケモノ扱いされていた私の頭を優しく撫でてくれたその優しい手、今でも感触を思い出す
会って話したのはその1回だけだったが、私はずっとその思い出を胸に三番隊入隊を決意し、どんなに周りに酷く言われようと鍛錬を積み、1年で霊術院を卒業し天才と名を知らしめた
まさか吉良様を抜いて隊長になるとは思ってはいなかったけど…副隊長と一番長くいるのは隊長……。隊長バンザイ!!ありがとうございます、卒業試験を見に来た朽木隊長、日番谷隊長…
トントンとふすまを叩く音がしハッと我に帰る
「は、はい!」