第2章 第一話「純白」
「新しい隊長か、いままで吉良副隊長だけでやってこれたのに今更な……」
「だが吉良副隊長だけ…というのも頼りないんだよな」
三番隊隊員は新しい隊長が来るとだけ伝えられ広場に集められていた
「みんな、おはよう」
薄い金色の髪で片目を隠した、痩身の青年が挨拶をすると隊員たち一斉に青年の方を向き頭を下げる。
「吉良副隊長、おはようございます」
青年の名前は吉良イヅル。三番隊副隊長であり、前隊長が裏切り隊長不在の三番隊を今日まで纏めてきた人物である。
「新しい隊長…優しい人だといいね…」
副隊長という肩書きにはそぐわないほど弱々しく笑い、隊員たちに更に頼り無さを感じさせてしまう
「お話中失礼致します、三番隊の皆様でしょうか?」
振り返れば隊長羽織を着たどの隊員よりも小さく小柄な少女の姿。
「は、はい!貴女は…」
「遅くなって申し訳ございません。新三番隊隊長を拝命致しました、九条純白と申します。今年真央霊術院を卒業したばかりなのでなにかとご迷惑をおかけするやも知れませんがどうぞよろしくお願い致します」
彼女の自己紹介を聞き、隊員達がざわつく
自分たちの新しい隊長は
霊術院を出たばかりのこんな小娘だと?
「ふ、副隊長の吉良イヅルです。よろしくお願い致します、九条隊長」
「お、俺達は隊長が居なくても今までやってきた!!」
「貴女の様な新米に隊長が務まるのか?」
「み、みんな!止めないか!」
隊員達が野次を飛ばし吉良が止めに入るがなかなか止めようとしない。
「そ…うですね、皆様隊長不在の中よくやってこられました。私みたいな卒業したての小娘認めて貰えなくて当たり前でしょう……ですが、私は三番隊隊長です、気に食わないのであれば受けてたちます。自分より強ければ文句は無いでしょう?」
挨拶のために外していたマスクをつけ直し、隊員たちを霊圧を上げ威嚇する様に睨む
「吉良副隊長、稽古場へ案内して頂けませんか?
今日は全員で稽古と致しましょう。」
「へ、え…あ、はい!こちらです!」
吉良の案内する方へついて行くと広い稽古場が現れる