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私を愛したモノなど

第2章 1 箱庭


彼にもたれ掛かり、終わることの無い絶頂に耐えるように彼に縋り付く。

ずっとこのまま?
繋がったまま、この快楽に耐えるのは果たして苦痛なのだろうか。
それとも幸せだと感じるだろうか。
現に受け止める快楽を苦痛だとは感じておらず、飲み込まれそうなこの刺激にいっそ全て飲み込んでしまえばいいのにとすら思う。

今にも途切れてしまいそうな意識では受け止めた言葉を処理する前に快楽に溺れてしまう。
あるのは目の前の熱と身体を支配する快感だけ。

「フフ、……もう、分かんない、か……」

恐らく、彼も今同じなのかもしれない。
時折苦し気な表情を浮かべながら、深く私へとその熱を突き上げる。
何度も奥を浅く揺すられるうちに敏感になったソコが快楽から逃れようと腰を引かせるが押さえ付けられ、また深く深く腰を落とされる。
逃げるように引き抜かれた彼の熱をまたぐちゅりと粘着質な音を立てて熱く火照った中を擦り上げながら深く咥え込む。
何度かそれを繰り返されるうちに逃げる力も無くなって、全てを委ねてしまう。
擦るように奥のこりこりとするそれを揺すられて、むず痒いような、何とも言えないじわじわとした新しい快感が生まれ初める。

乱れた呼吸、激しく打つ鼓動をすぐ傍で感じた。
滴る汗と、行為のそれと彼匂いとでどれだけ長くこうしているのかすら感じ取れそうで。
実際には時間の感覚なんてものは無くなっていた。
何時までも終わらない、更に深く深くへと快楽を植え付けられる。

何時まで続くのかという思いと、何時までも続いて欲しいという思いとが交差する。
この快楽の着地点が分からない。
限界を知らない身体はもうどこまでも快楽を貪ろうとする。

その間も首筋に顔を埋めたまま、まるで血流が繋がってしまったかのように、どくんどくんと彼から流れ込んで来るモノを感じる。

「んぁ、っぁあぁぁぁ、ッ」

全身が熱く痺れて、このままずっとイキ続けるのではないかと言う程に止まらない。
意識を手放すかどうか、朦朧とした記憶の中で永遠にこの熱から逃れられない。

時折私の名を呼ぶ愛しそうな声に目眩がした。

「ねぇ、アンリ……このまま、僕のモノになってよ……っ僕だけのモノに、さ……。」

それはこの行為の中で私が意識して聞いた最後の言葉だった。
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