第2章 1 箱庭
どくん、どくんと心臓が波打つ。
身体の熱は冷めない。
「ほら、分かる?君の中から、僕で染まっていくのが。」
ゆったりとした動きで抜き差しされて、激しい刺激ではない筈なのに、それだけでもう中の彼をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「あっぁあ、んんぅ、」
体が、まだ足りないと求めていた。
魔力だとか、力だとか、そんなもの私には分からない。
今あるのは、ただひたすらに目の前の熱を求める身体の疼き。
「このまま、全部僕で染め上げちゃおうか……アンリ、受け入れてくれる?」
「、ゃあ……わかんなっ、」
「分かんないか……フフ、でもそれでいいんだよ。君が僕を求める程、より深くお互いを受け入れる……だから、君は何も考えなくていい。」
酷く甘い口付けと、私の中一杯に受け入れた彼の熱が本当に私の思考を奪っていく。
「全部、僕に任せて。君は何も考えないで……ただ僕を受け入れてくれたらいいんだ。そして、僕のモノになってよ……アンリ。」
彼のモノに……?
それは一体、何を意味するのだろうか。
何故、私を欲しがるのか。
一瞬浮かんだそんな疑問も、押し付けられる彼のモノによってすぐ消し去られる。
「ああぁっ!」
「今……何も考えないでって言ったよね。」
そのまま中を擦り上げられ、更には腰を押さえられた。
彼の大きなモノは締め付けるとその形がハッキリとわかってしまう。
快楽を貪る事しか考えられなくなる。
そうなると、私は彼を求めてしまうのをやめられない。
「あぁっあ、っあん、ぁああっ!」
このままでいいのか。
このまま、この快楽に身を任せてしまって良いのだろうかという小さな不安。
しかし、そのチクリとした小さな胸の痛みを覚えると、忘れさせるかのように彼の口付けがすぐに降ってくる。
止まることの無い腰の動きと、舌を吸われるその行為によって、また私は何も考えられなくなる。
きもちいい、きもちいい。
求められていると思っていいのか。
先程とは違う、胸を締め付ける感情は悦びなのか今の私には分からない。
「、っアンリ……ほら、もっと気持ち良くなろう?」
そう言って深く奥の方を短いストロークで何度も突き上げられ、すぐにまた絶頂の波が見え隠れした。
イかせて欲しい、また、アレが欲しいと体が疼く。