第2章 1 箱庭
「や、だぁ…、いやっ……」
自分の意志とは関係なく私の体が変わってしまうことに怖くなって抵抗する。
「……ごめんねアンリ、その言葉は聞いてあげられない。」
力無く彼を押しやる私の腕はいとも簡単に抑えられ、口を塞がれるようにキスをされる。
こうして舌同士を擦り合わされると、私は何も考えられなくなってしまう。
「んっ、ふ、んんぅっあ」
そうしている間も、胸を刺激する手が止められることは無い。
ピチャピチャと舌が絡む音が頭に響いている。
歯列をなぞり、舌を絡み取られるとちゅう、と舌先を吸われた。
離された身体を、ゆっくりとベッドへ寝かせる動作は酷く優しい。
それは、恋人にする行為のようでいて、又はわざと抵抗するのならして見せろとでもいうのか。
私は荒い息を整えながら、彼を見つめる。
「アンリ、怖い……?フフ、怯えてるアンリも可愛い……でも、逃げないんだね。」
その言葉に、ビクッと肩が震える。
怖い筈なのに、抵抗出来ないのは何故なのか。
私は、自分で自分自身に彼を突き放さない言い訳を並べて、そして彼を受け入れている。
それが分からなくて、泣きそうになる。
「……もう一度聞くよ。僕が怖い……?」
「っ、わかん、ない……っ」
「じゃあ、やめて欲しい?それとも……続けて欲しい?」
それは酷く、残酷な質問だった。
このまま放置されたら、それこそどうにかなってしまいそうな程、私の身体は彼を求めている。
これから起きることが怖いのに、それ以上に欲しくて、欲しくて……私の答えなんてとっくに決まっていた。
「っ……し、て……もっと、して」
「あぁ……いい子だね。」
私の唇に触れるだけのキスをして、再び胸の中心で赤くぷっくらと膨れた突起を指先で弄んだ。
「ほら、気持ちいい?」
指先で執拗にも乳首を弄られ、求めていた刺激に体が震える。
「あっひあ、んん……!」
すぐに片側の乳首に彼の舌が触れ、弾くように舐め回される。
両方の乳首を一度に刺激されては抑えられない甘い声が部屋に響く。
完全に立ち上がった突起は僅かな刺激ですら敏感に受け取り、どんどんその感度を上げていく。
弾いて、舐めて、擦られて……そしてちゅう、と音が聞こえる程に吸い上げられては大きく私の背中が仰け反った。
「あっぁあん!も、やぁっそこ、ばっかりぃ……っ!」