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私を愛したモノなど

第5章 闇夜の調べ


「フフフ、構いませんよ。学園で必要なものは全てこちらで用意いたします。あと、貴女自身が持っていきたいものの用意等、ですから近いうちにジェイドに持って来させましょう。」

「す、すみません何から何まで……あの、やっぱり、私が荷物を取りに屋敷に行くのはやめた方が良いですか?」

「うーん、そうですね……出来る限りは控えた方が賢明かと。」

このままではハイデスさんにも、ジェイドさんにも挨拶の一つも出来ずに学園に行くことになってしまう。少し大きな休みには帰ってこれるとは聞いているが、それがどのくらいの頻度になるのかもよくわかっていない。ジェイドさんには、ルシスさんに連れられてこのお城に来てから一度も顔を合わせていないのだ。やっぱり、行ってきますの挨拶はどうしてもしたいというのが私の今の気持ちだった。
そんな私の言葉に、少し困ったように笑うルシスさんも、何も意地悪で言っているわけでは無いというのが分かる。それだけ大切な事なんだろう。私自身が思っている以上に、自分が天女だということは重い話なんだと、この前のハイデスさんたちの話で理解した。

私が屋敷にいてまたお城から捜査みたいな人たちが来たらまずいってことなのだろう。
お城の人たちに私の存在がバレたらどうなるのかはまだわからない。お城に閉じ込められちゃうとか言ってたけど、牢獄とかそんな感じなんだろうか……どういう立場でお城に連れていかれるのか分からないから想像がつきにくい。怖いけど聞いてみようかとも思うが、今はまだその勇気がない。

「え、えっと……そういえば、ルシスさんの居屋敷にシュバルツの方々が出入りしてるのは気が付かれていないんですか?あれだけ騒ぎになった後だから、怪しまれないのかな、とか……」

「いや、気が付いている筈ですよ。ですが、私の許可なくこの城に訪れることが出来る人間はそういないのでねぇ……まぁ、来ようとした気配はあるようですが。」

「え?ここにも来ようとしてたんですか?!」

そういえばと、今この場所が安全だということが前提として話を聞いていたが、それが何故なのか知らなかったことに気が付く。

「勿論。黒魔術士団隊長の屋敷へ100の兵を送るくらいですよ?怪しい場所は全て調査するつもりなのでしょう。」

「じゃ、じゃあなんで無事なんですか?」

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