第5章 闇夜の調べ
予想していない訳では無かったが、ルシスさんの傍にいるという不思議な安心感から心配していなかっただけに、実はこの場所も怪しまれていたという事実に驚きを隠せない。
「それは勿論、辿り着けなかったからですよ。この屋敷へは屋敷の人間無しには辿り着くことが出来ません。表向きは、呪いの地との国境なので、間違って迷い込まないようにと結解を張っているというった風にね。」
「あ……だから、街には誰一人いないんですね。」
「その通りです。カールやジェーンと来る時ですら、ヴァルターの案内でこの城へ来たでしょう?」
「あ、そういえばそうでした……でも、王様の力でも辿り着けないんですね、すごい。」
ルシスさんに色々な話を聞くほどに、自分が今まで置かれている立場というか、環境や周りのことにどれだけ疎かったのかと身に染みる。
そういえばハイデスさんは私にそういった物事をあまり話してはくれなかった。きっと何も知らない私が混乱しないようにと気を使ってくれていたんだろう。でも、これから私一人で行動したり、誰かと接していく機会が増えるんだ。。もっとわかっていないといけないな、と思った。自分からもっと色々考えて、分からないことは聞いていかないとと、胸に決めた。
「フーゼンでは無理ですね。メリアデスならもしかしたら……」
「メリアデス、さん…?」
「フフ、学園の理事長をしている人間です。あちらに行ったら紹介しますよ。」