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私を愛したモノなど

第5章 闇夜の調べ



私は朝、目が覚めると一瞬ここはどこだろうかという感覚に陥るが、すぐにルシスさんのお城に泊まっている事を思い出した。
目が覚めて一番に聞くユフィーの声もないから、何だか違和感だ。あの子は実はルシスさんの事がどうにも苦手らしく、留守番させているのだがこんなに長く滞在することになるのならば無理にでも連れてきていれば良かったなと少し後悔した。
屋敷に戻ったら沢山構ってあげようと決め、朝の支度を簡単に済ませた。

すぐに朝食の席に向かえば、もう既に他の方々は集まっていた。おはようアンリちゃん、と朝から眩しいくらいの笑顔をエルメスさんから受け取りながら、部屋を見渡せばハイデスさんが居ない事に気が付く。ヨアヒムと呼ばれた彼もいないようだった。

「あぁ、ハイデスだがやっぱり調子が良く無くてな。良かったらアンリちゃん、あとで顔見に言ってやってくれ。俺たちは食ったらもう出ちまうからよ。ヨアヒムは少し様子見ててくれるっつってんだが、それでも昼には出ちまうだろう。あ、ヨアヒムはうちのチャプレンっつって、所謂医療班のリーダーなんだ……って、もう聞いてたか。」

「あ、ちょっとだけ、あいさつ程度には伺いました。そっか、医療班の方ならきっと安心ですね。ハイデスさん、屋敷でも少し前からずっと体調悪そうで……私も詳しい訳は聞いてないんです。」

「そうか……俺らにも詳しいことは言ってこなかったからな…。ちょっと、うちのメンバー集めて話さねぇとならないことがあるから早くどうにかしてくれねぇと困るんだが……ま、アンリちゃんがそんだけ心配してくれてんだ。アイツの事だから意地でも回復するだろうよ。」

エルメスさんの言葉に、そうならいいけどなぁと小さく笑った。でも、隊の医療班のましてやリーダーの方ならば普段からハイデスさんの体調なども良く診てくれているだろうから、何だかとても安心した。
こう大人数で食卓を囲むことも殆どなかった私は、朝から少しだけ楽しい気分だ。
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