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私を愛したモノなど

第5章 闇夜の調べ


魔法を見せてくれる。そう言ったアリアスさんは、また他の者達と合流し、指揮を執り始めた。

「これから、何をするんですか?」

「アリアス率いる魔法陣師とエルメス副隊長率いる魔法師による軍事演習ですね。戦地でも共に戦うことが多いので、よくこうして合同演習を行っています。」

なるほど。魔法を使った戦いの練習ってことか。ワクワクとして一歩前に体が出そうになったところを、ルシスさんの手が伸びてやんわりと止められる。
危ないから行くなってことだろうか。自分の行動が子供みたいでちょっとだけ恥ずかしくなった。

「ジェーン殿、勝手ながらお嬢様の周囲に軽い結界を施させていただきますこと、ご了承願います。……お嬢様、少々失礼いたします。」

「あぁ、勿論。………ジェイド殿もバトラーとしておくのは勿体ないと、常々思ってはいましたが……一体どこで使用人を見つけてくるのですか?クロヴィス家は本当に末恐ろしいですね。」

ルシスさんの結界が私たちの周りを覆ったらしく、ジェーンさんが空を見上げて言う。らしく、というのは、私には何が変わったのか何一つ理解出来ていないからである。
まぁ、ルシスさんですからとも言えずに、苦笑いを溢してはジェーンさんに名前を聞かれてものらりくらりと躱すルシスさんを見ていた。
うーん、今丁度アリアスさん達が何やらキラキラしたドーム状のものを周囲に展開した、あれならば私にも目に見えるので結界か何なのかな、ということは分かるのだが。

「そういえば、魔法師と魔術師って何が違うんですか?」

陣形を組んでいるのか、少し時間がかかりそうなのでこっそりルシスさんに話しかけてみる。

「魔術師は、主に魔術に順じた人間達の総称です。魔術に関する学を得た者へ与えられる肩書きのようなものですね。変わって、魔法師というのは軍に所属し、騎士団の中でも特に魔法攻撃に特化した部隊に配置された兵を言います。」

なるほど、似ているようで結構違うのだな。いくらジェイドさんに色々教わっているとはいえ、まだ知らないことばかりだし、間違えたら恥をかきそうなこともきっと多くあるだろうから気を付けないと。
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