第5章 闇夜の調べ
「そうだったんですね、……私、何も知りませんでした。もっとちゃんとお礼とか、言わないと……。」
「大丈夫ですよ。帰る時にはハイデスも家にいられるでしょうし、私からもそれとなく伝えておきましょう。さて、本題ですが、貴方の魔力を見させて頂くと言いましたね?」
「あ、はい。そうでした。どんなことをするんですか?」
「そうですね、最終的に、魔力を貯めて置ける核を貴方の中に埋め込まなければなりません。しかし、天女の体とその魔力は一度見てからでないと対応出来る核を用意出来ませんので、その確認になります。前までは魔力が不安定な時等に発作が起きて、私達の魔力を送れば一時的に凌げていましたね?それが、今の貴女の体ではその方法が利かなくなっております。」
「え、そうなんですか?」
「ええ、厳密に説明すると長くなるのですが……まぁ、この際なのでいいでしょう。」
少し迷った素振りを見せた後、ルシスさんが少しだけ改まった様子で此方を見たので、私も無意識に少しだけ背筋をしゃんとしてその話に耳を傾けた。
「まず、人の魔力というのは皆性質が異なり、混ざると基本的に相殺し合おうとします。状態にもよりますが、発作など不安定な時にはその部分を打ち消す役割を担い、元の安定した状態に戻ります。発作は基本的に本人の魔力量の制御範囲を超える事によって起こるので、相殺させ減らすイメージですね。なので、直接魔力を道具で抜くことでも対応は可能です。」
へぇ、魔力って聞いてはいたけどそれがどんなものなのかよく分かって無かったな。勿論そんなものが自分の中にあるだなんて事も実感としては殆ど無かった訳だし。
人によってその持っている魔力の性質が異なるっていうのも、まぁ想像はつく。皆体質とか色々違うもんね、みたいな感じなのだろう。
「貴女の場合はその魔力が強すぎたので、魔道具が使えず仕方なくあのような対応になりました。それとは逆に安定時に他人の魔力が混ざると本来の魔力量が減り、その魔力が自分の力で制御不可な強さですと他人の魔力がコントロール内に入り込んで不安定な状況になります。ここまでは分かりますか?」
「えっと、何となく……?」