第5章 闇夜の調べ
「ああ、申し訳ございません。もっときちんと説明してからお声掛けするべきでしたね、配慮が足らず申し訳ない。あの薬も、大丈夫であろうと見越してお渡しいたしましたが、正直経過を見たかったもので。貴女の体に何かあってからでは遅いですから。」
その言葉に、今回の本当の目的はそれだったのかと知って納得した。ルシスさんは、そういった面でも心配してくれてたんだな、とちょっと安心した。
「それと、実はもう一つ。奴の夢を確認するだけならばわざわざお呼びする必要もなかったのですが…。」
「他に何かあるんですか?」
「ええ、貴方の魔力について、色々見なければなりませんのでね。」
魔力を見る?それは一体どういったことなのだろうと小首を傾げた。
「実はですね、この前の貴女は自身の抱えきれる魔力量を超える限界まで来て少々危ない状況だったのですよ。」
「え?そうだったんですか、?じゃあ、ハイデスさんがあんなに心配してくれてたのって、そういう…?」
「そうですね。今の状態まで持ってこれたのは、ハイデスによる処置のおかげです。難しい話になるので内容の詳細は省きますが、あの時アンリ、貴方を助けたのは間違いなくハイデスですよ。」
私の知らなかった事実に、驚いた。私の目覚めた時のハイデスさんの心配のしようは、確かに普通じゃなかったように感じる。
何でそんなにも可笑しくなってしまったのだろうという疑問もあるが、今は素直にハイデスさんに感謝をしなくてはという気持ちで一杯だ。
きっと私の事を気遣っての事であろうことは感じているのだが、ハイデスさんはそう言ったことをあんまり、深く話してはくれない。知らなかったとはいえ、こうしてしてもらった事にお礼も言えないのはちょっと悲しいので、自分からももっと気を付けなければとちょっと反省した。