第4章 3 夢か現か幻か
私は体調はほぼ大丈夫だし、わざわざハイデスさんが水差しを持ってきてくれるということは、ジェイドさんは居ないのかもしれない。
取りあえず、ジェイドさんがいるのかだけでも確かめに行こう。そうすれば、何か出来ることが分かる筈だ。
そうと決まれば、部屋を出ようとドアノブに手を掛けるが、おかしな事に開かない。
「、あ、あれ?可笑しいな……?」
ルシスさんも、ハイデスさんも何ともない様子で出ていったのに、何でだろう。
ドアノブは回るのに、扉が開かないのだ。
ペタペタと扉に触れてもどこもおかしな様子はない。
身体で押しても、試しに引っ張ってもびくともしない。
部屋に隣接された脱衣場からの個室のお風呂やお手洗いは何の問題もなく通れるのに、何故かメインの扉が開かない。
困ったぞ、と思いつつ、何とか開いてくれないかなぁと再びドアノブに手を掛けて思いっきり押してみた途端、パキン、と何かが割れる音がして、あれ程までに開かなかった扉が急に開いた。
「、ひゃっ!!」
自分で開けた扉の勢いに負けて倒れ込みそうになるのを何とか耐えた。
ビックリした、何だったんだろう。
扉の立て付け、悪くなってたのかな?なんて思いながら首を傾げつつ、廊下を進むことにする。
ジェイドさんが居るとしたら執事室、かな。でもあそこに居る時は準備とかそういう時だから、今何処かで仕事をしている最中なら何処に居るかだなんて全く分からない。
どこにいるんだろ、なんて思いながら歩いていくとメインの応接間から何やら声がする。この距離で声がするってことは、多分、言い争ってるとかそういうことだ。
これは、聞かない方がいいと、そう思って踵を返そうと向きを変えた時、その声の主がハイデスさんだと言うことに気が付いてしまった。
吃驚して、思わず動けなくなる。
誰と、何を話してるんだろう。
あんなに体調が悪そうだったのに、大丈夫なのだろうか。