第4章 3 夢か現か幻か
「、ッひ、ぃ、やぁあ"あ"あ"っ、ッ!!!!」
それは、私だけではなかった。
否、私以上に、彼女が、その細い身体をガクガクと痙攣させ、酷く悲痛な声を上げる。
彼女の魔力を、喰らいたいと、その為の行為だと、その意識が現れてしまった。
たった一瞬、自覚するかしないか、その程度の事。
にも関わらず、それは、私の中に隠された酷く醜く浅ましい部分をひけらかすようで。
お前が今、していることを、教えてやろうとでも、言うかのようで。
ブワリと、意識を失いそうな程の量の魔力が己の中に流れ込んでいるのが分かる。
ガクンと腰が折れ、彼女の上に倒れ込みそうになるのを既の所で堪えたが、目の前の光景に身動き一つ取れなくなる。
声にならぬ声を上げ、己にしがみつくアンリが、いやだと、助けてと叫ぶ。
それは本当に、獲物が食い散らされる、その酷く悲痛な叫びと同等のもので。
私の身体を襲うおぞましい程の快楽と、彼女の美しく清んだ魔力を貪り喰う、恐ろしい程の、その快感。
これが、捕食なのか。
絶望にも近い感情の波が怒涛のように押し寄せる。
なのに、それなのに、私はこの手を離せない。
この細い体を押さえつけ、このまま余すことなく全てを喰らってしまいたい。
愛しているんだ、こんな事をしたかったのでは無いのだと、思っていた。
愛を囁き、焦がれ、そうして彼女がこの気持ちに応えてくれたその時に、大切に、大切にしたかった。
何も変わらないと思った。こんな行為であったとしても、私は彼女を間違いなく愛せるのだと。
だが、そんな筈はないのだ。
何故、この禁忌を犯した者が誰一人として人の世に戻れない?
何故、そこまでこの行為を恐れるのか。
全てが合致した。
だが、もう全てが遅かった。
陰茎はあり得ない程に熱を持ち、少しでも動けばすぐに我を忘れるだろう。
感情と身体が切り離されてしまったのかと思う程で、無意識にグッと腰が彼女の奥を押し上げた時、ビリビリと頭が焼ける程の快感を得た。
そうして腕の中で、愛しい彼女がガクガクと震えて、私と繋がったそこからプシャ、と潮を噴いて達したのが分かる。
人としての感覚を完全に越えた快感に襲われた。
このままでは、お互い本当に狂ってしまうと、そう思った瞬間、彼女の手が私の背に爪を立てた。
ギギ、と鋭い痛みが走ったそこで、私の意識という意識は途絶えた。